8月26日のフラッシュクラッシュで学んだ売りトラリピの思わぬ落とし穴

2019/8/26(月)朝に2019年の年初のフラッシュクラッシュを彷彿とさせる急落相場が発生しました。
その相場の中で経験した売りトラリピの思わぬ落とし穴について、備忘録を兼ねてこのページに書き残しておこうと思います。

8/26(月)朝に発生したプチ・フラッシュクラッシュ

発生のきっかけは米中貿易戦争

今回のプチ・フラッシュクラッシュの発生のきっかけは、米中貿易戦争による前週末のトランプ大統領のツイートだとされています。中国がアメリカに対して追加関税を課すと発表したことを受けて、トランプ大統領が報復措置を検討すると前週の金曜日深夜(日本時間)にツイートしたのです。

その報復措置の内容が金曜日の市場クローズ前に発表されればよかったのですが、報復内容が発表されたのは市場クローズ後でした。
そのため、市場では発表内容をクローズ前の相場に織り込むことができず、
「これはもしかすると週明けに1月3日の再来、フラッシュクラッシュが起きるのでは?」
と多くの市場参加者が疑心暗鬼の中で週開けを迎えることとなりました。

一方で、日本時間の土曜日早朝に発表された報復内容は、
「 対中輸入に課している制裁関税(第1~3弾)について、10月1日以降、関税率を既存の25%から30%へ引き上げる方針を発表した 」
という、懸念していたよりもインパクトの強いものでもなかったため、週明けの相場にはそれほど大きな影響がないだろうという見方もありました。

そして迎えた8/26(月)の朝。
寄り付きは小さな窓を開けただけの静かなものでしたが、午前7時20分過ぎからクロス円を中心に大きく下げました。

ただし実態は投機筋?FX会社?のストップ狩り??

ただ、この急落相場の中で不可解な点がありました。
米ドル円は前週末の終値が105.4円付近であったのに対して、プチ・フラッシュクラッシュでの最安値は104.5円付近。その下げ幅は1円弱。

一方で、トルコリラは前週末の終値が18.3円付近であったのに対して、プチ・フラッシュクラッシュでの最安値は16.3円付近。その下げ幅は約2円。

どう考えてもおかしいですよね?
米ドル円が1円しか下げないのに、米ドル円のレートのの1/5程度であるトルコリラ円が2円も下げるなんて・・・。
しかもトルコリラも円も米中貿易戦争の当事者の通貨ではありません。
よって、今回のプチ・フラッシュクラッシュの実態(中身)は、米中貿易戦争による窓開けのタイミングを狙った投機筋やFX会社(?)などによるトルコリラ円ロンガーを狙った意図的な仕掛け(ストップ狩り)だったのではないか・・・と個人的には考えています。




8/26(月)のプチ・フラッシュクラッシュで何が起きたか?

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

私は現在、マネースクエアジャパンのトラリピでトルコリラの売りトラリピを運用しています。
今回のプチ・フラッシュクラッシュで、売りトラリピの思わぬ落とし穴を発見したので、今回の急落相場で何が起きたのかを書き残しておきます。

下げ相場での動き

まず最初に、月曜朝の急落相場で、これまで保有していた売りトラリピのポジション7本全てが利確されました。

・・・と、ここまでは良かったのですが、マネースクエアジャパンは一時、58.9pipsもスプレッドが拡大しました。

上はBID(売り)のチャート。 一時15.965円まで下げたことがわかります。
そして下はASK(買い)のチャート。最安値は16.550円でした。

その差(スプレッド)58.9pips。
おかげで、トルコリラ円の実態の最安値は16.4円程度だったのに16.00円の売りポジションまで約定されてしまいました(笑)

戻り相場での動き

その後、レートは何事もなかったかのように18.1円付近まで戻りました。

そのため、0.25円幅で売りトラップを設定している口座には、16.00円~18.00円の範囲で合計9本のポジションが残りました。含み損とともに・・・(笑)

16.00円で約定した売りポジションは8/31時点で-2.2円分ほどの含み損を抱えています。これに加えてマイナススワップの発生です。。。

今回の急落相場で気づいた、売りトラリピの「2つの落とし穴」

今回の相場で売りトラリピには「2つの落とし穴」があることがわかりました。

上はクロス円で買いトラリピをしていた際に「行って来た」の急落相場が発生した際の状況です。
見ての通り、行きの下げ相場で新規ポジションが次々と約定するものの、戻りの上げ相場でその全てが利確して終わる、つまり、買いトラリピにとってはいいことづくめであることがわかります。

ところが、クロス円の売りトラリピにおいては上の図のようになってしまいます。以下で2つの落とし穴について詳しくまとめてみます。

落とし穴①「行った来た」の急落相場では含み損のポジションが残って終わる

タイトルの通りですが、行きの下げ相場では、そのレートの売りポジションを保有していない場合は、ポジションの新規約定が次々と発生し、更には利益確定が発生します。
既にポジションを保有している場合には保有中ポジションの利益確定が次々と発生します(今回の私のケース)。

ここまでは悪いことはなく、むしろ利益確定が発生するのでいいことづくめです。
そしてレートの底に達したとき、保有中のポジションは一時的にゼロとなります。

しかし問題はこの後です。
「行った来た」の来た(戻りの上げ相場)では新規の売りポジションが次々と約定しまいきます。上げ一辺倒の相場のため、新規約定したポジションは利益確定することなく、レートが戻り終わった後には、全て含み損状態でポジションが残ることとなります・・・(笑)

クロス円において、この逆(急上昇→急落)の相場が発生すれば売りトラリピには理想的なのですが、こういった急変動の相場はクロス円に関してはたいていは「急上昇→急落」ではなく「急落→急上昇」なんですよね。

これが売りトラリピの「1つ目の落とし穴」です。

落とし穴②急落相場のスプレッド拡大で余計な売りポジションまで持たされる

前述の通り、今回、マネースクエアジャパンでは約60pipsものスプレッド拡大が発生しました。

買いトラリピであれば、どれだけスプレッドが拡大しても、BID(売り)よりも値が大きいASK(買い)のレートが適用され、且つ、底で新規保有したポジションはその後の上げ相場で利益確定されるため、一切問題はありません。いいことづくめです。

しかし、売りトラリピを運用中にこのような「急落→急上昇」相場が発生すると、拡大したスプレッドの安いほう(BID)が適用されるため、実態レートよりも下の売りポジションを持たされることになります。しかもその後は急上昇の相場となるため、底で約定したポジションは利益確定することなく、必要以上に大きな含み損を抱えて終わることになります。。。

まとめ:売りトラリピの思わぬ落とし穴

このようにクロス円の売りトラリピを運用する際には、「急落→急上昇」の行った来た相場において、想定外の落とし穴が2つあることがわかりました。

私はトルコリラ円の急落相場に備えて売りトラリピを運用しています。
下げたら下げっぱなしの相場では売りトラリピは非常に有効ですが、今回のような行った来た相場においては、売りトラリピにはいいことがないことがわかりました。

みなさんもご注意ください。今回の記事が参考になれば幸いです。